与えられた時間は「７日間」。未知の言語を解読していくゲームである『7 Days to End with You』。
言葉の解釈はプレイヤーに委ねられており、その人の感じ方次第でその人だけの物語が生まれる点が面白そうだと思い、プレイしてみました。
Steam版などは未プレイです。
この記事では、『7 Days to End with You』（Switch版）について、どんなゲームなのかを遊んでみた感想を交えつつ紹介していきます。
どんなゲーム？
プレイヤーは記憶喪失の「私」目線で物語を進めていきます。
目覚めた「私」の目の前には「女性」がいるのですが、彼女が何を言っているのかは全くわかりません。
プレイヤーは、言葉の一つ一つにルビのように意味を振ることができます。
彼女の説明やしぐさ、文脈などから言葉の意味を推測し、あてはめ、何を話しているのかを考えていきます。
彼女の言っていることや、部屋に置かれたものを理解することで、「私」自身のことや「私」が置かれている状況を理解することにつながり、物語の全体像に迫っていくのです。
このように書くと難しい感じがしますが、ざっくりいえば、彼女とのやりとりを通してひとつひとつの言葉の意味を推測し、何を言ってるのかを理解していくゲームです。
何を言っているのか推測できれば、彼女からの「問いかけ」に適切に返すこともできるでしょう。
基本システム
プレイヤーは気になるものを調べることができます。
彼女が近くにいれば、単語や説明によって言葉を教えてくれます。
時には絵を使って説明してくれることもあります。
辞書に登録した意味は、通常会話でルビのように表示されます。
辞書の機能①…振り返り
同じ単語が使われた場面をまとめて振り返ることができる機能。
状況から推測したり、文脈で使われている同じ単語と異なる単語を見比べて意味を考えたりすることができます。
辞書の機能②…色
一つ一つの単語に、色を設定することができます。
言葉のイメージに合わせて色をつけるもよし、これは確定ワードだな等、自分が見分けるために使用するもよし。
メモ的な要素なので、彼女との会話に影響はありません。
基本的に、辞書の登録機能に頼ることになるので、彼女の話す言葉は「わたし 行く すぐに」のように、どうしても単語の羅列になってしまいます。
そのため、単語の意味を理解したうえで、「わたし 行く すぐに」なら「わたしはすぐに行かなくてはならない」などのように、単語の並びから彼女の話していることを想像して解読していくことになります。
感想（ネタバレなし）
彼女が何を言っているのかは、最初のうちはほんっっっとうにわからないのですが、表情やしぐさで「もしかして今喜んでる？じゃあ、これは『嬉しい』とかかな…？」と推測したり、同じ種類のものをいくつか尋ねたときに同じ単語が使われているのを発見して、「じゃあ、これはカテゴリのことを指しているのかな？」などと推理できていくのが面白かったです。
あんなに「全くわからん‼」と思っていた文章も、不思議となんとなーくわかるようになっていく体験が新鮮でした。
わからない単語でも、とりあえずそれっぽい意味を置いておけば同じ単語が出てきたときに気づきやすいですし、文章全体を見て「なんか違うっぽいな。もしかしてこう？」と修正することもできます。
そんなこんなで、プレイを進めるうちに言葉の意味がわかってくると、世界の見え方が変わってきます。
始めはこうだと思っていた状況が、意味を理解していくうちに「もしかして…」と何かを察します。同じ景色、同じ場面を見ているはずなのに、状況を解釈すると、前とは異なって見えてくるのが面白いですね。
ちなみに、これは周回プレイが可能なマルチエンディングタイプのゲームであり、「どうしても意味がわからん！悔しいからもう一回やる！」と、思った自分は最終的に９周ぐらいしたと思います。
解釈は自分次第ではありますが、彼女からの問いに対する適切な答えは存在します。
これを探すのが難しく、自力で全エンディングを回収するのはなかなか厳しい…。
５周目までは自力で頑張って模索していたのですが、もうこれ以上はお手上げだと観念して、６周目以降は攻略情報を頼りました。でも、自分なりの解釈を貫きたかったので、単語の模範解答は見ませんでした。
クリアした今だったら、ほかの人の解釈を見るのも面白そうですね。
まとめ
このゲーム、何よりも素晴らしいのが、「解釈が自分次第」なこと。
絶対的な正解はありません。
プレイする「あなた」の感じたことがすべてであり、言葉のとらえ方や『彼女と私の物語』はプレイヤーによって異なるのです。
プレイヤーの数だけ物語があることが面白いので、これは絶対にネタバレを見ないでプレイしていただきたいです。
自分なりの言葉で、自分なりの解釈で、自分の内からの言葉で物語を読み解いてほしい。その方が絶対に面白いと思います。
