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Jenny LeClue - Detectivu (名探偵ジェニー・ルクルー)|母親を救え!小さな名探偵の大きな冒険【レビュー】

謎解きゲームがしたくて探していた時に見つけた『Jenny LeClue - Detectivu (名探偵ジェニー・ルクルー)』
絵本のようなグラフィックで描かれた謎解きアドベンチャーゲームです。

謎解きゲームのため、「ネタバレを踏んだら嫌だな」と思ってあまり下調べもせずに購入したところ少し後悔したので、この記事では、『Jenny LeClue - Detectivu (名探偵ジェニー・ルクルー)』(Switch版について、注意点も踏まえてどんなゲームなのかを紹介していきます。

 

注意点

普段はネタバレ的なことは書きたくないのですが、重要なことなので最初にもう言ってしまいます。

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このゲーム最大の要注意ポイント。
それは、ストーリーが未完であるという点です。
何を言ってるんだと思うでしょう?でもそうなんです。

ストーリーのラスト、「さあ、ここからどうなるんだ!?」というところで出てくる「つづく…」の文字。

 

このゲームは、「つづく」の文字で本編が終了します。

 

なんだか日本語的におかしい気がしますが、「つづく」でゲームが終わります。
残った伏線は回収されません。

ストーリーが未完である、ということを知らずにプレイしたので、クリア後はぽかんとしながらスタッフロールを眺めることに。
そこまでの展開やキャラクターの描かれ方が良かっただけに、勿体ないというか、すっきりしないというか悔しいというか……。

良かった点は後でも述べますが、ストーリーは意外な展開もあってグイグイ引き込まれる面白さがあるんですよね。
アプリ版のレビューを見る限りでも、評価はかなり良い。

それだけにこの終わり方というか、この締め方が勿体ない…!きっちりこのゲーム内で終わらせてくれぇ……!というのが、個人的な感想ですね。

ストーリーが完結するかどうかがさほど気にならない方であれば、楽しめるかと思います。
逆に、ストーリーの完成度を重視する方にはおすすめできないですね…。

 

どんなストーリーなの?

「ジェニー・レクルー」は、とある児童向け探偵小説の主人公。
安全で幸せな世界観をモットーとした38作もあるシリーズ作品ですが、マンネリ化が指摘されており、売れ行きは落ちる一方。
著者であるアーサーは、編集者から「もっと本格的な殺人ミステリーを」と言われてしまいます。
アーサーは頑なに拒否していたのですが、編集者とのやり取りで怒り心頭になった彼はついに決意し、「殺人事件」が起こるシリーズ最新作の執筆を始めます。
なんと、物語はジェニーの母親が容疑者となる展開に。
ジェニーは母の無実を証明するため、一人で事件解決に挑むのですが、真相を追うにつれ、平和で何もなかったはずのアーサートンの町の闇に迫ることになり…⁉

というストーリーです。

プレイヤーは物語の主人公であるジェニーを操作し、謎を解いていきます。
謎解き自体はそこまで難しくありません。そこそこ頭を使う良い難易度です。

ちなみに、日本語でのタイトルは『名探偵ジェニー・ルクルー』ですが、作中での名前は『ジェニー・レクルー』です。
 

今作の良かった点&気になる点まとめ

 
良かった点
・個性豊かなキャラクターが魅力的
・ストーリーが面白い
・字幕タイプが選べる
・謎解きや思考の演出が面白い
・ボリュームたっぷりの本編
・選択肢の制限時間は有り無し変更可能
 
気になる点
・場面によっては字幕が見づらい
・取り逃しの収集要素コンプが面倒
・選択肢収集と本編の関連

以下で詳しく述べていきます。

 

【良かった点】

・個性豊かなキャラクターが魅力的

主人公であるジェニーのキャラがまず良い。
優れた洞察力と推理力を持ちながらも、性格は大人びてひねくれおり、友達は少ないジェニー。
彼女はことあるごとに皮肉たっぷりのツッコミを入れてくれるのですが、そこがまた面白い。

著者であるアーサーは、作中に語り手としても登場しますが、語り手である彼とジェニーのやり取りも面白かったですね。

ジェニーのほかにも、何人かの主要人物が登場するのですが、これがまたキャラが濃い。どのキャラも個性が立っていて、強く印象に残っています。

 
・ストーリーが面白い

ただの謎解きアドベンチャーだと思っていたのですが、主人公は小説上のキャラクターであり、小説内で展開されるストーリーを中心に、合間合間で作者であるアーサーの悩む様子や編集者とのやりとりが挟まれるという二重構造をもつ世界観です。まずはその構造が面白い。

また、ストーリー自体は母の無実を証明するために殺人事件の謎を追うというものですが、ただ事件を追うだけではなく背後にうごめく闇にも迫っていきます。ストーリーを進めるほどに謎が膨らんでいき、想像していた展開を良い意味で裏切られる場面もあって面白かったです。

 
・字幕タイプが選べる

今作はなんと全編英語フルボイス!(日本語吹き替えはなし)

字幕は、「ゲームのテキスト欄のようなウィンドウタイプ」「映画の字幕のような字幕タイプ」のどちらかを選択できます。
さらに、字幕送りも「手動前進(ボタンを押したらすすむ)」「自動再生(放っておいても自動で流れる)」のどちらかを選ぶことができます。

「ウィンドウ+手動前進」にすれば、よりゲームらしくなりますし、「字幕+自動再生」にすれば映画のような感じで楽しめます。
組み合わせは自由です。オプションからいつでも変えることが可能です。

 
・謎解きや思考の演出が面白い

ジェニーが相手を観察したり、入手したメモについて考えたりするときに、メモ書きのようにまとめていく演出があります。この演出がわかりやすく、かつ面白いと感じました。

また、ジェニーは事件のあらすじや展開を「ジャーナル」にメモしているのですが、その手書きのメモもジェニーが描いたイラストを交えてまとめられています。時には文句を書いていたりもして、思わず笑ってしまいました。

 
・ボリュームたっぷりの本編

謎解き系インディーゲームには珍しく、10時間を超えるボリュームです。
じっくりゆっくりプレイしていたので、トータル16時間くらいはかかってしまったと思います。

本編のほかにも、ステッカーやギャラリーアイテム、ポストカードの破片集め、選択肢コンプなど、収集要素も充実しています。
ポストカードは一度のプレイで全部集めることができましたが、ステッカーとギャラリーはコンプできませんでした。なかなか難しいです。

 
・選択肢の制限時間は有り無し変更可能

選択肢を選ぶ際は、制限時間内に左右のスティックを選びたい方に倒し続けて選択しなければならないのですが、この制限時間は設定画面で無しにすることができます。
こういうちょっとしたところが親切なのは嬉しいですね。

 

【気になった点】

・場面によっては字幕が見づらい

ウィンドウタイプなら問題がないのですが、映画のような字幕では、背景と色が同化して字幕が読みづらいことが何度かありました。

 
・取り逃しの収集要素コンプが面倒

チャプター選択が可能なので、後から収集要素の取り逃しを回収することができますが、チャプターは場面によってはもう少し細かく分けて欲しかった箇所もあり、回収は結構面倒です。

加えて、ジェニーの移動は強制的に歩きになる場面があったり、上下移動はすばやくできないこともあったりするなど、回収のために何度もプレイするのは大変です。

 
・選択肢収集と本編の関連

ネタバレになってしまうのですが…………

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このゲーム、ラストが「つづく」で終わったことが腑に落ちなくて、
「もしかしたらエンディング分岐があるのだろうか?取り逃し要素があるから駄目だったのではないか?もしくは、これまでの選択肢で正しいものを選ばないといけないのでは!?」
と思って、クリア後にジャーナルの「選択」をすべて埋めたのですが、結論から言います。

おそらく、何をどうやっても本編の基本的な流れも「つづく」も変わりません。

最後の前に誰を選んでも、どのレバーを引いても、基本的に展開は変わりません。
(ジェニーを選んだ場合はジャーナルの最後のメモ書きが埋まらない、というのはある。)

いや、「偉大な探偵はいかなるパズルも解き明かす」なんて作者コメントがあったので、もしかしたらって思ったんですけどね……。
攻略記事を探したりもしたのですが全然見つけられず、エンディング分岐に触れているものもないので、諦めるしかなさそうです

前述の収集要素回収の面倒さと、ボリュームたっぷりのプレイ時間とがあって、一生懸命プレイしたのにこの終わり方はしっくりこない…。

さらに言えば、たくさんの選択肢があったにも関わらず、ストーリー分岐もエンディング分岐もどうやら存在しなさそうな点が残念です。
一生懸命集めたポストカードも単なるおまけ要素であり、内容や差出人は本編に関係なさそうです。
(以上で折り畳み部分は終了です!)
 
 

まとめ

魅力的なキャラクターやセリフ回しが面白く、時にはコミカルに、時には不気味に展開される謎が謎を呼ぶストーリー。
探偵的思考の視覚表現も面白く、途中のエリアが少し長いなーと思ったものの、続きが気になって最後までガーっとプレイしてしまいました。

個人的には、最後の直前まではかなり良かったのですが、スッキリしない終わり方だったのが残念です。勿体ないなぁと思ってしまいますね…。

とはいえ、ラストについての事前知識があって、それでも良いと思えるのならば、ストーリーやボリューム感はなかなか魅力的ではないでしょうか。